塗料の種類と特徴
30坪・2階建の一般的な戸建住宅の外壁塗装の単価
塗料は大きく分けてアクリル・ウレタン・シリコン・ラジカル制御型・フッソ・無機の6つに分かれます。
耐候性・単価は共にアクリルから無機の順で高くなります。
アクリル塗料
アクリル塗料には水性、溶剤があります。外壁材としては水性がメインとなります。
溶剤タイプはデメリット(臭い・旧塗膜を犯す)しかないため現在ではほぼ使われません。
特徴は、塗料の中では最も安価であることです。
その反面、耐候性が低い為、塗膜の劣化は早くなります。
各メーカーの期待耐用年数は約5年とされているので戸建てには不向きな材料です。
DIYなどではこのアクリル樹脂塗料が発売されています。
公立学校の外壁で使われているのはこの水性アクリルです。触ると白い粉が手に付着するチョーキング現象が多分に見られ、いかに劣化が早いかがわかると思います。
個人的な意見ですが、室内などの紫外線が当たらないところ以外は使用しないほうがよいと思います。
ウレタン塗料
アクリルよりは耐候性は向上しますが、それでも各メーカーの期待耐用年数は約8年とされています。
価格もアクリルの2倍ほど高いですが耐候性にそこまで差がないので、現在では外壁材としてはあまり使用されません。
ウレタン(弱溶剤タイプ)が使われるのは鉄部など水性では不向きな箇所くらいです。
シリコン塗料
塗料単価はウレタンの1.2倍ほどとあまり変わらず、期待耐用年数は約10年となっているので現在の主流な塗料となっております。
最も厳しい環境にさらされる屋根の塗装に関しては、最低でもシリコン以上が望ましいです。
コストパフォーマンスに優れ、耐候性も良いシリコンは戸建て外壁塗装の50%以上を占めていると言っても過言ではありません。
ラジカル制御型高耐候性塗料
2015年頃に登場した塗料です。
塗料単価はシリコンと同じくらいですが、耐候性はシリコンを上回り約12年なので、主流になりつつあります。
ラジカルとは悪い物質で、塗膜の劣化を促進させる原因と言われおります。
そもそも塗料に含まれる顔料の中に、酸化チタンというものが入っています。
この酸化チタンは白の顔料として使われており、酸化チタンに紫外線が当たることにより発生する物質をラジカルと言います。
つまりラジカル制御型塗料とは、「酸化チタンに特殊コーティングして、ラジカルを発生させにくくさせた塗料」です。
フッソ塗料
期待対用年数は約15年と高級な仕様となります。
塗料単価はシリコンの2倍以上するので、そこまで流通していないのが現状です。
シリコンでは満足できない、高級志向の方にお勧めです。
無機塗料
現段階で最強クラスの機能を有した塗料です。耐候性はフッソを凌ぎますが、単価はフッソの1.5倍します。
無機物(石など)は有機物と異なり、半永久的に劣化しない、だから無機塗料は耐候性が高い、というイメージです。
劣化しないということは長期的に塗膜を保つことができるということです。
ただ無機だけだと塗料化することができないので厳密にいうと多少の有機物は入っています。
無機にはさらに燃えにくいという性質と塗膜も柔軟性があり、建物の動きに追随でき、割れにくい特徴も有しております。
割れにくいということはフッソと違い、コーキングの上に塗装しても割れずに長持ちして安心ですね。
弊社で扱っている無機塗料は多くの大手ハウスメーカーなどで採用されていますので、信頼度は高い商品です。
遮熱塗料
熱を反射し室内の気温上昇を抑える塗料です。
グレードは、シリコン・フッソ・無機などあり、塗料も屋根用・外壁用があります。
屋根は外壁より過酷な環境下に置かれるので、シリコン以上がベストです。
塗料単価は通常の塗料の1.5倍とそこまで高くなく、エコにも繋がります。
特に熱をためやすい素材(金属製)でできた建物などには効果を発揮します。
各メーカー約7~19°表面温度が下がり、体感では約2℃ほど下がると言われていますが、過度な期待は禁物です。
大きな金属製の工場の屋根でしたら効果はありますが、戸建ての金属製でない屋根に塗装しても室内温度はそこまで変わらないのが現状です。
なぜなら、室内の気温の上昇の8割の原因は窓などの開口部からの日光に起因するからです。
窓のないコンテナなどには絶大な効果がありそうですね。
色にもよって大きく差がでます。
薄い色(ホワイト系)のほうが熱吸収率が下がるので効果が大きくなりますが、戸建ての屋根が薄い色だと美粧性(見た目)に問題があるのでは・・・と思います。
遮熱塗料のデメリットは、劣化していく段階で色が思いもよらない色に変化してしまうことです。
遮熱塗料のブラックを塗装して、数年後に紫色に変化していた、なんてこともあります。
遮熱塗料の顔料には熱を溜めるブラックが使われておらず、いろんな色を混ぜてブラックに近づけていきます。
ですので、そのいろんな色の中身の割合によっては、このような現象が起きます。
性能には問題はありませんが、数年後にはなんだこの色は!となることはあります。
断熱塗料
塗料の単価は遮熱塗料よりも2倍以上高くなります。
塗膜を厚くするため通常の塗料よりも工程が増え、使用量が多くなるためです。
耐候性・美粧性よりも機能性重視の塗料です。
デメリットは色の選択肢が多くなく(濃い色不可)、ほとんどの場合「艶消し」しか選ぶことができません。
艶が無いということは艶有りの塗料と比較して汚れが付きやすいということになります。
石調塗料
塗料の中に石など入っている塗料です。
耐候性重視でなく見た目重視の為、擁壁などに塗装することが多いです。
多彩塗料
単色に塗装するのではなく2~3色で塗装する方法です。
ベタ塗り感を払拭できます。
シリコンが主流ですが、メーカーによってはフッソや無機もあります。
価格は高いですが、個人的には美粧性に関しては満点です。
装飾仕上塗材
意匠性重視の内・外装の塗料です。
ドロッとした塗料の中にいろいろなサイズの専用の砂を入れて、コテや吹付でパターン(模様)をつけて塗る材料です。
オシャレな空間を創るのに適しています。
デメリットは艶消しの為『汚れが付きやすい』『職人さんの技術に大きく左右される』などが挙げられます。
汚れの付きにくくするオプションの塗料もあります。
光触媒
最も有名な光触媒塗料は自動車会社でも採用されていた画期的な材料でしたが、今は廃番となっております。
光触媒という文言がある塗料はありますが、実績などから見て個人的には薦めていません。
弾性塗料
弾性塗料のメリットは『外壁にひび割れが生じた際に、塗膜が割れずに外からの水の侵入を防ぐ』といものです。
デメリットは、その弾性(柔らかさ)のせいで汚れが付きやすいことです。柔らかいものは触ればネチャッてしますよね。
次に透湿性が悪いことです。
通常の塗料であれば透湿性が良いため、水は塗膜を通って外へ抜けていきます。
しかし弾性タイプの塗膜の場合、水は塗膜を貫通できないため、塗膜が水風船のように膨らんでしまうのです。
膨れの写真はこちら →
参考
塗料には艶調整も可能です。通常は艶有りで、5分艶、3分艶、艶消しなども可能です。
注意すべきことは、艶を落とすごとに耐候性は下がり汚れが付きやすくなるということです。
艶を落としてシックな感じを好まれることがありますが、耐候性が落ちるということは知っていてほしいです。
フッソで3分艶まで艶をなくすと、耐候性レベルは艶有りのシリコンと同じくらいになってしまいます。
艶があってこそ本来の塗料の性能を発揮できるということです。
余談ですが、役所工事では艶を落とした仕様は認められておらず、艶有りに限定されています。